レッスン1

暗号通貨とは何か

従来の通貨、すなわち政府発行のドルやユーロなどの法定通貨は、日常的な取引には十分に機能していますが、一定の制約も伴います。資金の移動や保管には銀行や決済プロセッサーといった第三者機関への依存が不可欠となり、その結果として次のような状況が生じます。

従来のマネーが抱える課題

  • 仲介業者と手数料:たとえば100ドルを海外の友人に送る場合、銀行や送金サービスなど複数の仲介業者を経由し、その都度手数料が差し引かれます。国際送金では数多くの仲介者が介在し、多額の手数料が発生することも一般的です。
  • スピードと利用可能時間:銀行送金は特に国際間だと数日かかることが多い上、銀行は営業時間内しか動きません。日曜や祝日にお金を送りたい場合は、処理を待たされることになります。
  • 信頼とコントロール:資産を銀行に預けるのは、銀行が安全に保管してくれると信じているからです。しかし銀行は口座の凍結や出金制限をかけることがあります。中央銀行はお金を追加発行できるため、現金の価値が下がる(インフレ)可能性もあります。通貨不安のある国では、政府による通貨切り下げで蓄えが大きく目減りした事例も少なくありません。

こうした問題を解決するために登場したのが暗号資産です。暗号資産はピアツーピア型デジタルキャッシュであり、銀行や政府の許可を必要とせず、好きなときに好きな人へ直接送金できます。たとえば暗号資産で国際送金すれば、手数料はごくわずかで、送金も数分で完了し、銀行の営業時間も関係ありません。第三者を信頼する必要はなく、数学的アルゴリズムとノード(コンピュータ)がシステムを担保するため、自身による資産管理が今までになく容易になります。

Gateユーザーにとって:銀行振込が遅延したり、高額な手数料を支払った経験がある方にとって、暗号資産は有力なもう一つの選択肢です。Gate.comでは、USDTなどの暗号資産を入金すると、週末でも数分以内にアカウントに反映されます。従来の銀行送金で数日待つのとは対照的です。

暗号資産の基礎的な定義

暗号資産とはデジタル通貨であり、強力な暗号技術によって取引が守られ、ブロックチェーン上で運用されるのが特長です。一言でいえば、「暗号資産は、暗号化技術によって生み出されるデジタル通貨であり、代替的な決済手段である」と定義できます。要するに、紙幣のような現物ではなく、特定の管理者もいないインターネット生まれの新しいマネーです。

多くの暗号資産が持つ主な特性:

  • 非中央集権:特定の企業や政府による発行・管理ではなく、世界中のノード(コンピュータ)で分散管理され、単一の障害点や恣意的なルール変更・発行のリスクがありません。
  • ピアツーピア:取引はネットワークを通じて当事者同士が直接行い、仲介者は不要です。ブロックチェーンネットワーク自体が取引を検証・記録します。
  • 暗号技術によるセキュリティ:高度な暗号化手法で取引を保護します。暗号資産を送金すると、数千のノードが残高や二重支払いの有無を確認し、正当性を担保します。これが銀行による確認の代わりとなります。
  • グローバルかつ国境を越える特性:暗号資産は国に縛られず、インターネット環境があれば世界中どこへでもビットコインなどを送受信できます。為替や銀行インフラに左右されず、常に同一ルールで動作します。
  • 供給量の上限や予測可能性:多くの暗号資産はプログラムで供給量が上限またはコントロールされます(例:ビットコインは最大2,100万枚)。法定通貨のような無制限な発行と異なり、供給が予測できることで価値保存手段としての魅力があります(全ての暗号資産が固定供給ではありませんが、発行ルールは基本的に公開されています)。
  • 透明性:ビットコインやイーサリアムなどのパブリック型暗号資産は、すべての取引が公開台帳に記録され、誰でも参照できます。匿名性はウォレットアドレス(ランダムな文字列)によって保たれますが、資金移動自体はオープンです。こうした透明性により、不正や二重支払いの防止が可能です。

暗号資産は「台帳機能を内蔵したお金」といえます。アリスがボブへ1ビットコインを送信すると、ネットワーク上の台帳(ブロックチェーン)に「アリスのアドレスからボブのアドレスへ1ビットコインが移動した」と記録されます。銀行への連絡も物理的な紙幣も不要で、正確かつ改ざん困難な記録が残ります。全参加者が台帳のコピーを保持することで、不正の発生が抑制されています。

主要用語:

  • 法定通貨(Fiat Currency):USD、EUR、NGN(ナイジェリア・ナイラ)など、政府が発行し、その信用によって価値が支えられている通貨。中央銀行が自由に発行可能です。
  • 暗号資産(Cryptocurrency):ブロックチェーン技術と暗号技術を活用し、分散管理されるデジタル通貨。政府発行ではありません。例:Bitcoin、Ether、Litecoin。
  • 非中央集権(Decentralization):管理が一箇所に集まらず、多数の参加者に分散される構造。暗号資産のネットワークはユーザーやノードの協力によって成り立っており、単一の管理主体が存在しません。
  • ピアツーピア(Peer-to-Peer, P2P):中央サーバーや仲介業者なしで、利用者同士が直接やり取りできるネットワーク方式。暗号資産の送金は、相手に現金を手渡すような感覚をデジタルで実現します。

Gateユーザーにとって:Gate.comでクレジットカードや銀行振込を利用して暗号資産を購入すると、法定通貨をこの新しい分散型デジタルマネーに交換したことになります。Gate.comが取引成立とブロックチェーン更新など技術的な部分を担い、暗号資産が即座にアカウントへ反映されます。その結果、資金は銀行システムから切り離され、24時間365日稼働するグローバルな暗号資産ネットワークに組み込まれます。これは個人に大きな自立性をもたらしますが、同時に新しいデジタル資産の知識と管理責任が求められます。本講座では、これらの理解とノウハウについて詳しく解説します。

暗号資産の普及拡大(重要性について)

暗号資産はもう、一部の技術愛好者だけの趣味ではありません。2024年時点で、5億6,200万人、世界人口の約6.8%が何らかの暗号資産を保有しています。前年から大きく増加しており、暗号資産が急速に一般社会へ浸透していることが分かります。通貨不安や銀行口座を持てない国々では特に普及率が高く、ベトナム、ナイジェリア、トルコなどでは現地金融システムが機能しない場面で貯蓄や決済手段として暗号資産が活用されています。

先進国でも個人・企業を問わず暗号資産の導入が拡大しています。大手決済企業は暗号資産との連携を進め(例:PayPalは2023年に独自ステーブルコインを発表し、技術への信頼を示しました)、各国規制当局もルール明確化を進めています。これにより業界の信頼性と定着が進み、暗号資産は今後もデジタル時代におけるマネーや価値のやり取りで、より大きな役割を果たしていく見込みです。今この基礎を習得しておけば、金融の進化に先駆けて確かな備えができます。

免責事項
* 暗号資産投資には重大なリスクが伴います。注意して進めてください。このコースは投資アドバイスを目的としたものではありません。
※ このコースはGate Learnに参加しているメンバーが作成したものです。作成者が共有した意見はGate Learnを代表するものではありません。