イーサリアムDencunアップグレードは本当にL2を救えるのか？EIP-4844の威力を一文で解説

Question

イーサリアムのカンクンアップグレード（Dencum）は2024年1月に正式にテストを開始し、コアとなる革新はEIP-4844（Proto-Danksharding）です。このアップグレードには、イーサリアムの高額なガス代問題を解決する大きな期待が寄せられています。しかし、本当にそんなに画期的なのでしょうか？

コアメカニズム：「ブロブ」データとは？

Proto-Dankshardingは新しいデータタイプ「ブロブ（Blob）」を導入します。簡単に言うと、L2トランザクションはイーサリアムのメインネットに直接永続保存されず、一時的にビーコンチェーン上に保存され、約18日後に自動削除されます。

このメリットは？

ストレージコストが大幅に減少：L2のガス代が10～100倍安くなる可能性
データスループットの向上：各ブロックで1MBのブロブ帯域が固定され、従来のcalldata方式より効率的
ネットワーク負荷の軽減：L1メインネットがL2の履歴データを永続保存する必要がなくなる

アップグレードのスケジュールが確定

公式テスト進捗：

Goerliテストネット：1月17日
Sepoliaテストネット：1月30日
Holeskyテストネット：2月7日

現在、Proto-DankshardingはDevnet 12でテスト検証中です。

その他の同時期最適化案

DencumアップグレードはEIP-4844だけでなく、以下も含まれます：

EIP-1153：トランジェントストレージ操作。コントラクト実行時に一時変数を利用可能にし、ガス代をさらに削減

EIP-4788：ビーコンチェーンデータへの直接アクセス。L1とL2のインタラクション強化

EIP-5656：メモリコピー最適化。コントラクト実行速度の向上

EIP-6780：SELFDESTRUCT機能の制限。ネットワークセキュリティの強化

期待される効果はどれほどか？

理論値：

TPS急上昇：現在の15～20 TPS → 最大1000+ TPS（L2の最適化依存）
ガス代低下：L2コストが0.1ドルから0.001ドル未満に下がる可能性
スケーラビリティ向上：現状比100～1000倍の拡張

ただし、これらの数値はL2プロジェクトがブロブデータの活用をどれだけ最適化できるかにかかっています。

ユーザーと開発者への影響

一般ユーザー：

L2トランザクション手数料が大幅減少
トランザクションの確定速度が向上
DeFiやNFTなどエコシステム参加コストが低減

開発者：

複雑なアプリ構築コストが大幅減少
これまでガス代で実現できなかったアイデア製品の試行が可能に
dAppエコシステムが新たなブームを迎える可能性

ステーカー：

DencumアップグレードはETH流動ステーキング機構も強化し、ステーカーは流動性と収益を同時に得られる

まだ最終形ではない

Proto-Dankshardingはあくまで過渡的なソリューションであり、本当のFull Dankshardingはこれからです。完全版ではイーサリアムネットワークが複数の独立したシャードに分割され、スケーラビリティがさらに向上します。

2020年のビーコンチェーンローンチ → 2022年のマージ → 2023年の上海アップグレード（ステーキング引き出し解放）→ 今回のDencumと、イーサリアム2.0のロードマップは着実に進行中です。

ただしリスクも無視できない

技術的複雑性：大規模アップグレードには常に潜在的な脆弱性が伴う
エコシステム互換性：一部の古いコントラクトは調整が必要な場合も
移行期リスク：アップグレード期間中、一時的な不安定さが発生する可能性

まとめ

Dencumアップグレードは、イーサリアムがガス代問題を解決するための重要な一歩であり、EIP-4844のブロブデータメカニズムは巧妙なアプローチです。しかし、真の効果はL2エコシステムの最適化次第であり、完全なDankshardingの到来もカギとなります。投資家や開発者にとって、今回のアップグレードはイーサリアムエコシステム参加の新たなチャンスです。

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